昭和時代にはありえなかった現代の危機(前編)

エッセイ

はじめに

人を励ます時などに、よく、「この世に起こることは全て必然で必要、そしてベストのタイミングで起こる」という言葉が使われます。

これは、昭和時代の名実業家・松下幸之助氏の言葉です。通常は「現実をありのままに受け止め、前向きな心を保つことが重要である」というニュアンスで解釈されており、私もそれに賛成です。

でも同時に、今後、これが格言として機能できなくなることを危惧しています。

その話をする前に、まず、それと関係があるスピリチュアルの観点を二つ説明します。

スピリチュアルの観点

エネルギーと現象化

スピリチュアルの観点では、あらゆるものの本質を「エネルギー」と表現します。

また、エネルギーには、現象化する性質があると言われます。

それを人間に当てはめると、その人のエネルギー1が現象化して、肉体や経験する出来事など、その人の現実に存在するものになるということです(図1)。

▲ 図1 エネルギーと現象化の例

悪循環

現象化によって、ネガティブな出来事も起こります。

出来事によって嫌な気分を感じると、それを生み出した部分のエネルギーが刺激されます(図2)。

▲ 図2 出来事によって刺激されたエネルギー

刺激された部分が刺激前のレベルに戻らなければ2、次は、ネガティブ度がより高い出来事が生み出されます(図3)。

▲ 図3 エネルギーの変化と現実の変化

これが繰り返されると、出来事のネガティブ度や、出来事が起こる頻度などが次第に高まるという悪循環に陥ります(図4)。

▲ 図4 悪循環

実は、冒頭の言葉は、この悪循環を防ぐ方法です。

冒頭の解釈どおりに行動すれば、現実を客観的に捉え、出来事の原因を探り、改善することにつながるからです。

現代にある危機

加速する現象化

現代では、昭和時代よりも、エネルギーが現象化するスピードが速くなっています

コロナ禍以降、指数関数的増加時代と言われるように、今後も、そのスピードは加速してゆくと思われます。

これは、悪循環にも当てはまります。

でも、人間の能力(情報処理能力や精神性など)は、その変化に応じて進化していません

つまり、問題の難易度は加速的に上がる3が、解決する能力は上がらない

これは、いつか解決能力を超えた問題が起こる可能性と、それが起こるまでの時間が加速的に短くなる可能性を示唆しています。

時間切れ

今後は、これまでは妥当だった方法を行っても、問題が解決する前に、時間切れが、しかも想像できないくらい早くやってくるかもしれません。

現象化は、高次元の物理法則(宇宙の摂理)に基づく”物理現象”なので、この「時間切れ」は、皮肉なことに、まさに冒頭の言葉の『ベストのタイミングで起こる』という部分どおりの現象だと言えるでしょう。

前編は、以上です。後編では、我々に今できる対策を、スピリチュアルの観点を交えて考察したいと思います。

脚注

  1. 思考、精神などと言い換えることもできます。 ↩︎
  2. エネルギーを回復させる方法は、気分転換など多々あります。 ↩︎
  3. もちろん、ポジティブな出来事も加速的に現象化します。でも、人間はネガティブに引きずられやすく出来ています。だから、時間が経つにつれ、ネガティブ群がより肥大してゆくかたちで二極化が進むと思います。 ↩︎

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