前編の要約
エネルギーが現象化するスピードが、現代では昭和時代(40年前)よりも早くなっています。そのスピードは今後も加速してゆくでしょう。
そのせいで人間の解決能力を超えた問題が起こり、また、起こるまでの時間が加速的に短くなる可能性があります。
私たちに今できる対策
後編では、
- 問題の難易度を上げない
- 解決能力を上げる
という二点から、今、誰にでもできる対策について考察します。
問題の難易度を上げない
すでに存在している悪循環を、なるべく早く、一つでも多く止める必要があります。
まず公共性の高い内容の問題については、すでに多くの国で、社会の持続可能性を高める1という観点からさまざまな提案――たとえば、環境負荷を下げるためにゴミの削減、節電、リサイクルの促進などを行うとか、不必要な社会的ストレスを軽減するためにハラスメントなどの人権侵害を行わないとか、または、政府や企業等による侵害を、市民が正しい視点や手続きに基づいて抑制するなど――がされています。
一つでも多く学び、実施するべきでしょう。
個人に関する内容の問題(家庭、学校生活、仕事など)については、自分のエネルギーにあるネガティブな部分を調整するべきです。
ざっくり言うと、自分を振り返り、欠点をなおすということです。具体的な手段は、瞑想やカウンセリングなどたくさんあります。書籍やウェブ検索でも十分な情報が得られるはずです。

問題解決能力を上げる
現象化のスピードの加速と同じ速さで人間が進化するのは不可能です。
人間の圧倒的な能力不足を補う手段の一つは、多様性を利用することです。
既存の枠を超えて行動し、つながり合うことができれば、集合知をより豊かにし、問題解決をより効率化できるかもしれません2。もし時間的猶予ができれば、より優れたアプローチを新たに発見する余地が生まれます。
それを可能にするツールを私たちはすでに持っています。

生き残るための手がかり
繰り返しますが、私たちはこれまで妥当とされてきた方法で問題解決しようとしても、時間切れによって阻まれる可能性があります。昨今の気候変動を見ると、「死亡フラグ」がすでに立っている可能性もあります。
しかし人間は、時代や環境などを選んで生まれてきています。
私たちはなぜ、この時代を選んだのでしょう。なすすべもなくこのまま時間切れを待ち、終わりの始まりを「経験」するためでしょうか。
その問いに対する答えの一つは、モバイル端末の存在だと私は思います。
モバイル端末は軽量で、高度な情報を即時にやり取りでき、また、世界のあらゆる国で一般に普及しています。
より多くの人々が同じ目的のために協力し合おうとする時、時間や場所、金銭的コストなどの制約を大幅に緩和してくれるので、協力しやすくなります。
現象化のスピードの加速に決して追いつくことができない人間のスペックを補ってあまりある強力な味方だといえるでしょう。

それらは40年前には存在していませんでした。私はこの状況がまさに、前編の冒頭の言葉にある『この世に起こることは全て必然で必要』であり、私たちが現代を選んだ理由の一つだと思っています。
今、世界中の一人一人が、自らが生き残る可能性を文字通り「手にしている」のだと思います。

脚注