私の前世記憶(前編):死の先に見た世界

エッセイ

私が前世を見た理由

私は人と話していると時々、不思議な映像が浮かぶことがあります。

それは、見た目は相手と全く違うのに「本人だ」と感じる人物だったり、知らない時代や場所の風景だったりします。

おそらくそれらは、相手の情報をもとに、私が無意識に作り出したイメージでしょう。

しかし中には、相手のイメージとかけ離れたものもあり、話の合間にそれとなく探りを入れると、意外な事実を知ることもあります。

もし前世が本当にあるのなら——そう思い、一時期、さまざまな方法を試したことがあります。1

今回は、その中でも特に印象に残っている体験を紹介します。

前世の記憶

町医者の日常

これは、瞑想で得られたヴィジョンです。

変性意識状態に入った私が最初に見たのは、石畳の急な坂道を上っている自分の足でした。

坂の左手は鮮やかな碧海。季節は初夏。

快晴で空気は乾いていました。

左手に海が見える石畳の坂道を歩く大人や子供の画像。

私は30代後半から40代前半と思しき男性でした。

背が高く、がっしりとした体型で、髪と髭は茶色。

質素な麻の服にサンダルという身なりで、身だしなみには無頓着な様子。

独身で職業は町医者でした。

すれ違う人は女性も老人も、皆親しげに声をかけてきました。

時には荷車を引く男性が「先生、これ持ってけ」と野菜をくれたりもしました。

私は坂の途中にあるパン屋の二階に下宿していましたが、広い部屋には簡素な机と本棚、ベッドがあるのみ。

前世の私の部屋の間取り図。

本棚には数冊の専門書と詩集だけで、西洋人なのに聖書はありませんでした。

朝は坂を下りて小さな診療所で働き、夜は坂を上って帰宅する。

治療費を払えない患者は無償で診察する。

単調な毎日を、不満を感じることもなく淡々と暮らす――私の一生は、ただそれだけでした。

医学を選んだ理由

私は裕福な家庭に生まれましたが、幼い頃から寄宿学校で育ちました。

進路を決める際、教師から神学と医学を勧められ、「現実的に人を救える」という理由で医学を選びました

私の唯一の癒しは、下宿先のパン屋の娘でした。

赤毛でやせっぽち、そばかすで美人ではないけれど、瞳は小鹿のように純粋でつぶら。

いつも、フォーレンダムの民族衣装に似た帽子をかぶっていました。

フォーレンダムの民族衣装の画像。
▲ フォーレンダムの民族衣装 画像引用元:duffnetherlands.weebly.com

彼女は私を慕っていましたが、それは信頼や憧れのようなもので、恋愛感情ではないように感じられました。


私のささやかな楽しみは、彼女が私の部屋のドアを毎朝ノックし、朝食を知らせに来ることでした。

最期の想い

私は50歳になる前に死にました。

ある朝目覚めると、身体が岩のように重く、どうしても起き上がることができませんでした。

医師として客観的に判断し、「ああ、私はこのまま死ぬのだな」と無感情に考えました。

そしてドアの方を見て、「今あれが開いて、最後に彼女の顔を見ることができたら良いのにな」と思いました。

簡素な白い壁と木のドアの画像。

私の遺体を最初に見つけるのは、おそらく彼女だろう。私の返事が無ければドアを開け、そして、とてもびっくりするだろう。

若い娘にそれは可哀相だ。

しかし自分にはもうどうすることもできない、と静かに思いました。

彼女は悲しんでくれるだろうかと思い、すぐに、彼女が悲しい思いをするのはよくない、と打ち消しました――。

死後の世界で見たもの

神との出会い

次に気づいた時、私は、真っ白で清潔な雲が立ち込める場所にいました。

雲の向こうには強い光源があり、雲に反射する光で辺り一面は眩しく輝いていました。

明るい光が雲に反射する様子の画像。

目が明るさに慣れてくると、雲の隙間から人間の腕や太もものようなものが断片的に見えてきました。

それは人間よりもはるかに大きく、なんとなく女性のように感じられました。

その存在は、「あなたが、この人生でやり残したことは何ですか」と尋ねてきました。

私は、「思い残したことはありません」と即答しました。

その存在は、「あなたは、とても良い人生を生きました」「次の人生は、好きに選んで良いですよ」と言いました。

私は「特に希望はありません」と言いました。

本当に、何も思いつかなかったからです。

来世の選び方

その存在は沈黙しました。

そのままかなりの時間が過ぎ、私は「もしかすると、自分で何かは選ばなければならないルールなのかもしれない」と思い始めました。

そこで、「今の自分と正反対にしてください」と言いました。

自分は西洋人の大男なので、次は東洋人の小柄な女性に。

今世では何かに心動かされる経験がなかったので、ものごとを感じるという感覚を味わってみたい。

そう話しているうちに、アイディアが湧いてきました。

今世では誰も見られなかった場所や品物を目にできるくらい、科学や技術が発展している未来を見てみたい。

その場所で、今世では技術的に不可能だった体験をしてみたい。

そして、今世は普通の家族を体験しなかったので、次は、その時代で標準的な形態の家族を体験してみたい、と付け加えました。

脚注

  1. 前世を調べる方法については、別記事「前世の調べ方:初心者でもできる4つの方法」で詳しく紹介しています。 ↩︎

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