決定的な矛盾
Mさんは、彼氏の急な呼び出しにいつでも応じ、子どもを預けてまで手料理を作りに行きます。
一方で、誕生日に元妻の私物を渡されたときには、笑いながらも「ムカついた」と語っていました。
これはつまり、パートナーからの粗末な扱いを受け入れているのに、自身を「尊厳のない人間だ」とまでは思っていないということです。
彼女の本心と行動はズレています。
このズレこそが、彼女の苦しみの元凶なのです。
生まれる前の計画
このズレは、「生まれる前の計画」に従って生じたものです。
スピリチュアルでは、人はそれぞれ、今世で取り組む課題と、それに応じた”初期設定”を持って生まれると考えられています。
それを基に考えると、Mさんの課題は、おそらく「自分自身の尊厳に気づくこと」です。
幼少期の彼女は「自分には尊厳がないという思い込み」を身につけました。
家族は、そのために与えられた初期設定です。
そして、人生を通して課題――「自分には尊厳がある」という事実に気づくこと――に挑戦します。
この「マッチポンプ」のような仕組みは、Mさんに限らず、私たちすべてに共通する学びの方法です。
偽りの守り神
スピリチュアルの視点では、本来、人は誰もが完全な存在です。
何をどう思い込もうと、彼女の尊厳が失われることはありません。
彼女が感じている欠乏は、本当は存在しません。
しかし人は欠乏を感じれば、どうにかして埋めようとします。
そして、本当はすでに持っているものを、自分の外側に探し始めます。
Mさんの場合、
「彼に認められることで、私は尊厳を手に入れられる」
と誤解しています。
その考えに従えば、もし彼との関係を断てば、彼女が尊厳を手に入れる機会は完全に失われてしまいます。
だからこそ、不当な扱いを受けても、必死に関係にしがみついてしまうのです。
本当に彼女が求めているのは彼の愛ではなく、彼女自身の尊厳なのです。
苦しみの正体
彼女の魂は「私は尊厳ある存在だ」という真実を知っています。
だから魂は、現実と本来あるべき姿のズレに気づき、それを心の痛みとしてMさんに伝えます。
彼女にとって、この痛みこそが、思い込みを放棄して本来の自分に戻る――課題を解決する手がかりになります。
ただ、その思い込みは、幼い彼女が過酷な状況に対処しようとして生み出した(当時の彼女にとっての)「最善の策」です。
それを手放すことは、まるで自分の足元が失われるような恐怖を伴うはずです。
だからこそ、彼女は心を麻痺させてまで、同じ痛みに耐え続けているのです。
残された突破口
彼女の「抵抗」は強力です。
このままでは、課題は達成されないように見えるかもしれません。
しかし課題解決は、人間が生まれてくる上で最も重要な目的です。
だから、たとえどんな状況に陥ろうと、必ず何らかの対策が用意されています。
彼女にも、すでに突破口が用意されています。
本人は気づいていませんが、それは彼女のとても身近な存在として現れています。
次の後編では、用意されているこの「導線」と、魂が本来持っている完全性について説明していきます。



