ある男性の人生
人は誰しも、今世で成し遂げたい『魂の目標』を持っています。
一方、エゴに振り回されて道を見失うこともあります。
今回は、ある男性の生涯から、たとえ才能や努力があっても、それを成功に繋げられない理由を探ります。
始まりと栄光
「彼」は幼少期から、とある技術に強い興味を持っていました。
学業は優秀で県内随一の進学校に進学。
しかし熱望していた大学には及びませんでした。
大学卒業後、アルバイトで生計を立てながら技術職として活動を続け、やがて友人たちと会社を設立。
業界の耳目を集めるプロジェクトを立ち上げたり、権威ある賞を受賞するなど、着実に評価を高めていきました。
他業種とのコラボレーションやメディア露出も積極的に行い、数年間は順風満帆に見えました。
転落と最後の賭け
彼らの製品は独自性が高く、作りも丁寧でしたが、どちらかというとマニア向けで、作風が固定化する傾向もありました。
やがて売上げは落ち込み、新たな試みを乱発するも効果は見られず。
会社は解散に至ります。
彼は同業他社に就職。この時期から病を発症したと見られます。
やがて、以前の仲間と再び会社を立ち上げ、妥協のない製品を作り続けましたが、どれもほとんど話題になりませんでした。
その後、「原点回帰」と称して過去のヒット作をリメイクすると発表します。
それは、まさに「最後の賭け」でした。
しかし、新製品の完成間近に中心メンバーの一人が突然退社。
彼自身も病から回復することなく、この世を去りました。
スピリチュアルとの接点
彼はプライドが高く、子供のように純粋で頑なな性格でした。
仕事に強い情熱を注ぐ一方で、私生活では不器用さが目立つ人でもありました。
私は知人を通して、一時期、スピリチュアルな協力を期待されていました。
しかし、その本心が「自分を変えずに状況を変えたい」にあると感じ、応えることはできませんでした。
交流が途絶えて数年後のある昼下がり、突然、強烈な眠気に襲われました。
意識の底に彼の名前と会社名が浮かび上がり、目覚めてからSNSをチェックすると、彼の訃報が投稿された直後でした。
病気だったことも知らなかったので驚きましたが、その後、会社や彼個人のSNSを辿る中で、いくつか気づいたことがありました。
彼を取り巻く世界
創作の姿勢
私が去った後、彼は手当たり次第に突破口を探っていたようです。
特に新規ジャンルの開拓に力を注いでいました。
ただ、時折挙げられていた参考資料は、主に芸能人やタレント実業家の著書、あるいは即効性を謳うハウツー本などばかり。
古典に当たる、一つのジャンルを徹底的に掘り下げるといった、根本的な探求の姿勢はほとんど見られませんでした。
また、新作を発表するたびにそれを自画自賛していましたが、いずれも『手札の順列組み合わせ』で、かつての受賞作を超えるものはなかったように感じられました。
自己正当化
SNSの投稿には常に、実情とかけ離れた前向きな言葉が並んでいました。
それは、言霊の効果を期待しているようにも見えました。
また、「応援してくれる人たちの期待に応えるために」成功すると頻繁に語っていました。
それは、期待に応える形を装うことで、結果が出ないという現実から目を背けているように見えました。
閉じたコミュニティ
彼の交友関係は、まだ知名度の低いクリエイターやエンジニアたちが中心でした。
SNS上で互いの実力や作品を称賛し合い、未来への希望やポジティブな話題を共有し合っていました。
彼の最後の恋人も、その中にいました。
創作家を名乗り、作風は個性的でしたが、専業ではなく、雰囲気先行で基礎力に疑問が残る印象でした。
彼の死の直前には、自身がモデルと思しき耽美的な画像に稚拙な造語を添え、「死は終わりではない」と暗示する内容の投稿をしていました。
そこには深い悲しみや芸術性はあまり感じられず、表層的な哲学と、強烈なナルシシズムを芸に昇華させきれない様子が、まるで彼の「写し鏡」のように見えました。




