特別な巨大茅の輪
私たちは日々の生活の中で、知らず知らずのうちに厄や穢れといった負のエネルギーを溜め込んでしまいます。
そんな心身の汚れを祓い清め、無病息災を願う神事「大祓(おおはらえ)」が、年に二度、6月と12月に行われます。
特に6月に行われるものは「夏越の祓(なごしのはらえ)」と呼ばれ、夏の訪れを前に心身をリフレッシュする大切な機会です。
夏越の祓についてさらに詳しく知りたい方は、過去の記事をご覧ください。
夏越の祓で行われる代表的な行事の一つに「茅の輪(ちのわ)くぐり」があります。
これは、神聖な植物である茅(ちがや)で作られた大きな輪をくぐることで、自身の穢れを茅に移し、心身を祓い清めるというお祓いの方法です。

通常、直径数メートルほどの茅の輪が多い中、中には直径5メートルにもなる巨大な茅の輪を設置する神社もあります。
これらはニュースやSNSでも話題となり、遠方からも多くの参拝客が訪れるほどの人気ぶりです。
今回は、そんな特別な茅の輪に出会えるおすすめの神社を3つご紹介します。
北野天満宮(京都):ラスボス級の存在感を放つ「大茅の輪」
学問の神様として知られる北野天満宮では、ご祭神である菅原道真公の誕生日である毎年6月25日から30日まで、「大茅の輪(おおちのわ)」が設置されます。
一の鳥居をくぐり参道を進むと、その先に現れるのは、まさにラスボスのような圧倒的な存在感を放つ大茅の輪。設置当初は鮮やかな緑色ですが、日が経つにつれて茅の色が変化していく様子も趣があります。


また、本殿の境内には通常サイズの茅の輪が6月1日から設置されており、この大茅の輪の設置期間中は、大小二つの茅の輪をくぐることができるのも魅力です。
北野天満宮:京都市上京区馬喰町
城南宮(京都):車のお祓いのための芸術的な茅の輪
交通安全や旅行安全のご利益で知られる城南宮では、毎年7月1日から7日まで、「愛車(おくるま)の茅の輪」が設置されます。

特筆すべきは、その極めて美しい形状です。通常サイズの茅の輪でさえ茅の束の重みで歪んでしまうことがある中で、城南宮の茅の輪はこれだけ巨大にもかかわらず、毎年驚くほど見事な半円を保っています。

人がくぐることはできませんが、この芸術的な美しさと、自動車やバイク、自転車などの乗り物が茅の輪を通り抜け、お祓いを受けている珍しい光景は一見の価値ありです。

城南宮:京都府京都市伏見区中島鳥羽離宮町7
静岡浅間神社(静岡):形代に触れて穢れを祓う巨大茅の輪
徳川家康公ゆかりの地としても有名な静岡浅間神社では、毎年6月28日から7月7日まで、直径約5メートル、重さ約250kgの茅の輪が設置されます。その設置にはクレーンが使われるのだとか。

この茅の輪をくぐる際には、中央に吊るされている紅白の紙の「形代(かたしろ)」に触れるのが特徴です。形代に触れることで、より一層、心身の穢れが祓われると言われています。
静岡浅間神社:静岡県静岡市葵区宮ヶ崎町102−1
茅の輪における大切なマナー:茅の持ち帰りについて
近年、茅の輪の茅を抜き取って持ち帰らないよう、神社から注意喚起されるケースが増えています。数年前には、北野天満宮の「大茅の輪」が茅を抜かれ、スカスカになってしまった事例もありました。
茅の輪は、多くの人々の穢れが移されているとみなされます。スタンド花のように、縁起物として植物を持ち帰るという性質のものではないため、茅を抜き取って持ち帰ることはお控えください。

ミニ茅の輪が作れる神社も!
6月30日に夏越の祓大祭が執り行われた後、茅の輪に使わなかった茅を参拝者に授与し、「茅の輪守り」を作らせてもらえる神社もあります。
ただし、これを行っているかどうかは神社によって異なるため、ご希望の場合は、事前に神社の社務所へお問い合わせください。


この記事が、茅の輪くぐりへの理解を深める一助となれば幸いです。今年の夏越の祓には、ぜひお近くの神社で茅の輪くぐりを体験し、心身を清めてみてはいかがでしょうか?