重陽の節句とは
9月9日は月日に9が重なりますが、陰陽五行説では奇数は陽の数で、また、9という数字は陽の極とされていることから、9月9日は「重陽」と呼ばれます。
節句とは陰陽五行説に基づく暦のことで、江戸幕府が定めた式日である五節句の一つが、「重陽の節句(9月9日)」です。
重陽の行事食
菊酒
さて、重陽の節句では、不老長寿を祈願して飲まれるものがあります。
それは、菊酒です。
古代中国では菊は不老長寿のシンボルで、重陽に菊酒を飲む習慣は、後漢時代(1~3世紀)にはすでにあったそうです。
また、八百年生きたと言われる仙人・彭祖(ほうそ)が菊を薬として常用していたとか、とある村を流れる川の源流に菊花が群生しており、その村の住民はみな百歳超えの長寿だった、などの伝説もあります。
菊酒は、菊花を梅酒の要領で一か月ほど漬けこんだり、蒸した菊の花びらを器に入れ、冷酒を注いで一晩置いたりして作るそうですが、現在では、冷酒を注いだ盃に菊の花びらを散らすかたちが一般的です。
これなら、食用菊と日本酒を用意すれば、お家で手軽に作れますね。
余談ですが、漢方の生薬にキクカ(菊花)がありますが、頭痛やめまい、目のトラブルなどに用いられており、これを飲んでも不老長寿にはなれないようです。残念!(><)
栗ご飯
重陽の行事食は菊酒以外にもあり、それは栗ご飯と秋茄子です。
栗ご飯は、旧暦の9月が現在の10月にあたるため、単に「栗が秋の味覚だから」という理由のようですが、秋茄子の方は、「三九日(みくんち)」と呼ばれる、旧暦9月の9日・19日・29日に茄子を食べると中風(発熱・発汗・咳・頭痛・肩のこり・悪寒)を病まない、という言い伝えによります。
ちなみに、中部、近畿地方のとらやでは、毎年9月7日~9日の間だけ、「重陽」という和菓子が販売されます。

羊羹にけしの実をあしらって栗の形を模した、可愛らしい生菓子ですが、上のリンク先に価格や販売店などの記載があるので、興味ある方はどうぞご覧ください。
重陽以外の五節句の行事食について
先に書いた五節句で、重陽以外のものは、人日(じんじつ:1月7日)、上巳(じょうし:3月3日)、端午(たんご:5月5日)、七夕(しちせき:7月7日)です。
それぞれの行事食は、人日では七草粥、上巳では草餅やひなあられ、蛤の潮汁、端午では粽や柏餅、七夕では索餅や冷麦などです。
(参考:「節句と節句料理についての一考察」)
重陽神事で菊酒がふるまわれる神社
最後に、飲んべさんに朗報?ですが、実は、重陽の神事が行われた後、菊酒がふるまわれる神社がいくつかあるのです……♡
たとえば、貴船神社の菊花神事(2023年9月9日 午前11時開始)。
巫女が舞を奉納するなどした後、最後に執り行われる直会(なおらい)で、参列者に神前から下げられた菊酒が振舞われます。
また、先着30名まで神殿内で参列できます。
ただし、お酒には限りがあるので、ご注意を!( ゚∀゚)
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